日々迷走しているさかなさんですどうもこんにちは!
前回の記事で触れた唐突な就職活動といい、自分が何をしたいのかいまいち確信が持てないままに日々を過ごしております。
さて、本日の記事は読書記録です。
最近「そうだ、本屋大賞を読もう」と思い立って目についたものから読み漁ってるんですが、
今回はブログとしてはその第一弾になります。
今回読んだのは恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」です。
久々の恩田陸作品だったんですが、
さすがの心理描写と瑞々しい筆致に感嘆したり
ちょっとだけストーリーに物足りなさを感じたり
最後には自分の懐かしい感覚を刺激されたり
そんな読書体験になりました。
恩田陸「蜜蜂と遠雷」感想
まさかの丸ごとコンクール
ピアノコンクールを題材にした作品だという前知識はあったんですけど、
まさか上下巻丸ごとコンクールだとは思わないじゃないですか。
『羊と鋼の森』みたいな、主要な登場人物の人生や成長をじっくり描く物語を勝手に想像していたので、そのスケール感のギャップに驚かされました。
実際に過去が割と深めに描かれるのは主要人物4人の中でも亜夜くらいで(それでも「じっくり」とは言い難い)
登場人物は基本的に「今、このコンクール」を生きています。
そんな構成なのもあり、この作品は物語というよりも、一つの音楽祭を体験しているような感覚になります。
本から音楽が響いてくる
前評判でよく見かけた「本から音楽が響いてくる」という感想。
実際に読むと、全くその通りでした。
ピアニストの指の動き、表情、音色、空気、そしてピアニストを中心に広がっていく「何か」
文章を読んでいるはずなのに、目の前にはそれらがくっきりと、鮮明に立ち上がってきます。
音が耳に届き、いつの間にか音に包まれて、
ずっとここにいたい、ずっと聞いていたい、という気持ちになります。
音楽と共に描かれる登場人物たちの心情、その一瞬一瞬の変化や成長も実に瑞々しく鮮やかで、これについては
「さすが恩田陸さんだな」
と何度も思いました。
少し食傷気味の後半戦
ただ正直に言うと、二次予選から三次予選あたりで、登場人物たちはある程度それぞれに成長し切ってしまった感はありました。
そこから先は物語としての大きな変化よりも、ひたすらに演奏が続いていくことになります。
下巻に入った頃には
「あと半分も演奏を聴くのか…」
と少しげんなりしてしまったりしました。
もちろん演奏シーン自体は相変わらず素晴らしいんですけど。
ちょっとお腹いっぱいかな、みたいな。
ただ、それも含めて「音楽コンクールを丸ごと体験した」と思えばそれもありか、なんて思ったりもしています。
実際のコンサートでも、どんなに素晴らしい演奏でも、何時間も聞き続ければ疲れちゃったりしますしね。
連載で読むべき作品だったのかも知れない
そうそう、解説で知ったんですが、『蜜蜂と遠雷』は約7年間にわたって連載されていた作品だそうですね。
前項で書いた、ちょっと食傷気味になってしまった件を踏まえると、
この作品は連載を追って少しずつ読むのがベストな読書スタイルだったんじゃないかと思ったりもしました。
それこそ、「次の演奏が楽しみだな」という感覚で。
今となっては叶わないことですが、もう一度読み返す機会があれば、
一曲聞いて(読んで)、YouTubeなどで実際にその曲を聴いてみて、味わって、翌日また一曲読んで…
みたいな、一曲ずつゆったりと楽しむ読書がしてみたいですね。
もっと審査員の葛藤も見てみたい
あと、ストーリーに関して、個人的には審査員たちの視点ももう少し読みたかったなと思いました!
「才能」をどう評価するのか、
技術か個性か、
完成度か将来性か、
そのあたりの葛藤が絶対にもっともっとあったはずで。
それらをどう処理して、どうやってあの順位を付けたのか。
うーん、知りたい…!!
物語としても、単調になりがちだった後半戦にもっと深みや動きが生まれていたんじゃないかなんて思ったりもしますが、一番は単に私が読みたいからです。
ちなみに、連載時は非公開だったというコンクールの順位自体は、私はとっても納得でした。
この本が思い出させてくれたもの
終盤、登場人物たちがそれぞれに自分の未来に希望を見出していく姿がとても印象的でした。
「自分はこの道を進む。きっとできる。」
そんな確信を胸に前を向いて歩きだす姿はとても眩しく、勇気づけられます。
と同時に、私は少しだけ苦い思いで自分のことをかえりみていました。
私にも「きっと自分ならできる」と、疑わずに未来を思い描いていた時期があったことを思い出したからです。
結局私はその確信を信じ切ることができず、今も自信や確信を探して右往左往しています。
私もまだ、自分は何かを成せると思いたい。
そんな自信と確信を、もう一度見つけたい。
恩田陸さんの文章は、忘れかけていたその感覚を思い出させてくれました。
この感覚が、どこかにつながっていくといいなと思います。
おわりに
恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』は、音楽を読むような、不思議で贅沢な読書体験でした。
そして私にとっては、その瑞々しい筆致で、
私の中の「輝きたいと思っている場所」を起こしてくれるような作品でもありました。
まだしばらくは右往左往しそうですけど、
目の前のことを一生懸命やっていたら、きっとまた「確信」に出会えるんじゃないかなとそういう風に思っています。
さてこちらの『蜜蜂と遠雷』は映画化もしているそうですね。
この作品をどうやって映像にしたのか、非常に気になるところではあります。
改変が強くて賛否両論みたいですけど。
でも音楽が素晴らしいみたいなので、それ目的だけで見てみるのもいいな。
それではここまで読んでいただいてありがとうございました!
次の本屋大賞本は何読もうかなー!
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